術前矯正から手術、術後矯正、保定に至るまで手厚いフォローアップで患者とともにゴールをめざす外科矯正
顎の骨格的不調和が大きい場合、外科手術と歯列矯正の組み合わせによる外科矯正で噛み合わせをつくる方法があり、「顎変形症」など一部の疾患については保険が適用となる。「オレフィス矯正歯科」は、一般的な歯列矯正から外科矯正に至るまで多彩な矯正法を導入して総合的に取り組む矯正専門の歯科医院で、特定の疾患に対して保険診療が可能な顎口腔機能診断施設と指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)でもある。矯正の専門家である青木泰樹院長は「矯正専門の歯科医院として、外科矯正のオプションがあることは、たとえその患者さんが外科矯正の適応でないとしても、診断を立てる上でとても大切な引き出しである」と話す。難しい症例でも積極的に取り組むという青木院長に、外科矯正について詳しく聞いた。
(取材日2020年9月10日)
Q外科矯正の特徴やメリットを教えてください。
▲顎が出っ張っている・受け口と診断された方は一度相談を
矯正装置で歯を動かすだけでは対応できない症例に対しては、顎の骨を切る手術と歯列矯正を組み合わせた外科矯正を行います。骨がずれているのを無理に対症療法で修復していくのではなく、骨からアプローチしていくことで、噛み合わせの精度と安定性の向上を図ります。当院は、顎口腔機能診断料算定の指定医療機関ですので、「顎変形症」など厚生労働大臣が定める一部の疾患に対しては健康保険適用で外科矯正に対応できますので、他院で断られてしまった症例であっても、まずはご相談ください。
Q外科矯正の治療の流れをお伺いします。
カウンセリング後、治療をご希望いただいた場合は精密検査を行います。問診・視診・触診・顔面と口腔内の写真撮影・歯列模型の作製・エックス線検査・顎関節の検査などを行い、それをもとに、分析・診断していきます。診断時に、矯正方法や手術方法などの方針を決定し、リスクや期間、費用などについても詳細にご説明します。了承いただいたら月1回の通院ペースでスタート。まず術前矯正を1年~1年半を目安に、上下の歯が適正な位置で噛み合うよう前もって並べておきます。その後、顎の骨を移動させる手術を行います。1~2週間程度の入院後、1年ほどかけて術後矯正で微調整をして歯並びと咬合関係を確立していきます。
Q外科手術となると、不安に感じる人も多いのでは?
手術の前には、メリットだけではなくリスクに関してもきちんとご説明し、それらをきちんと踏まえた上で、治療計画を立てていくことが大切です。例えば、受け口など見た目で気になる症状だけにアプローチするのであれば美容外科での輪郭形成手術などで行える場合もあると思いますが、外科手術を併用する矯正治療では、見た目の要素ももちろん配慮しますが、噛み合わせに重きを置き、機能性を優先に考えて治療を行っていきます。手術は全身麻酔下で行い、術後は多少の痛みや腫れはありますが、退院後にはひいていきます。当院では、症例ごとに経験豊富な口腔外科や形成外科の先生と連携して治療を行っていきます。
Q治療後はどのようなメンテナンスを行いますか?
噛み合わせができたら装置を外しますが、その後、「保定(ほてい)」といって後戻りを防止する時間を1年半ほどとります。矯正直後の歯は不安定で元の位置に戻ろうとしますから、歯が周りの組織になじむまでの間が保定期間となります。保定は取り外しができる専用の装置を使い、3ヵ月~半年に1回のペースで通院していただきます。矯正の本当の目的は“良い噛み合わせをできるだけ生涯維持していくこと”だと考えています。保定期間を経て歯列が安定したら、治療は終了となりますが、患者さんには「何かあればすぐに来院してください」とお伝えしています。治療だけでなく、フォローアップも大切にしています。
Q治療を行うにあたり心がけていることは何ですか?
外科手術を伴う矯正治療では、矯正歯科医師と口腔外科歯科医師がタッグを組み治療を行います。外科手術だけでなく、手術前、手術後も含めて、双方の立場から説明することを心がけています。メリットだけでなく、リスクや対処法などをきちんと説明し、ご納得いただくことを大切にしています。外科矯正に限りませんが、矯正は、決してオートマチックに治るものではなく、患者さんの協力なしでは、なかなか良い結果を得ることはできません。「チーム一丸となって、一緒にゴールに向かっていきましょう」といつもお話ししています。
ドクターからのメッセージ
青木 泰樹院長
矯正を受けるのに年齢制限はありません。むしろ口腔環境を整えることにより、口腔内の衰えのスピードを緩めるという予防的な観点こそが、矯正の本来の目的だと考えます。8020運動の達成者の中に噛み合わせの悪い人はいないといわれています。これは、歯を残すためには適正な噛み合わせがいかに大事かを物語っており、矯正を行う意義につながるでしょう。矯正は審美性? 機能?と聞かれることがあります。私の考えとしては、機能はもちろん一番ですが、審美性も矯正の範囲内。「良い機能」を持つものは「良い形態」を持ちますからね。外科矯正を含めそれぞれの手法の長所と短所をきちんと理解し提案できる矯正を今後も提供していきたいです。